吟詠つれづれ

「わたしたちの父祖」

毎年、春になりますと市内の護国神社にて遺族会の皆様が詠まれました短歌を奉唱させていただいております。

4月。

一面の桜花が海のさざ波のように風に舞い、優しくも哀しく咲き誇り、

春の伸びやかな青空の下、わたしを迎えてくれます。

その静謐なる美しさは、音の無い世界、そのもの。

わたしはその音の無い美しい世界をくぐって社へと進んで参ります。

この奉唱というお役目は、父宗家から引き継ぎしましたものでして、

初めて奉唱致しましたときには、

このお役目の重さに身震いしてしまいました。

この社の中にて ご遺族の皆様方を背にしての奉唱です。

自分の魂が、この社に祀られている多くの英霊の皆様に繋がりますよう、

また、ご遺族の皆様のお心に届くよう、祈るような気持ちで詠じております。

昨年あたりから、もちろんコロナの影響も大いにあるとみえて、

ご遺族の皆様の数が激減したように感じます。

コロナ対策もあってそのような制約を設けたのかも知れないのですが、

寂しくなったなと感じます。

且つての大戦で、我が国の未来の繁栄を信じ、戦禍に消えて行った多くの御霊を思うとき、

戦後浸透した自虐史観をわたしたちが自分たちの手ではがしていき、

後世に正しい歴史を伝えることがとても大切だと痛感します。

わたしたちが今日までこのように守られてきたのは、

強く優しい父祖のお陰です。

今の世界を見るとき、

あの戦争もそうであったように、戦争によって利を得る者たちが

再び戦争へと誘う妖しいうねりを感じずにはいられません。

歴史は愚かにも繰り返されています。

わたしたちの父祖への恩返しは、何も出来ていないままですのに。

 

秀宗